[特集FOOMA JAPAN]自動車用技術を生かし食品をつかむ/デンソーウェーブ
イメージできる具体例を用意
半世紀以上にわたり産業用ロボットの開発に取り組むデンソーウェーブが、本格的に食品産業に参入したのは、自動化のニーズが増えた3年ほど前から。産業用ロボットが食品工場でも活躍できるよう、これまで培ったロボット技術に加え、安全や衛生面で必要な機能を組み合わせる。
「FOOMA JAPAN(国際食品工業展)2019」の出展で心掛けるのは「来場者がロボットの導入をイメージできるような具体的な実演」だ。「食品産業は自動車産業などに比べてロボットの導入が少ない。そのため工場内で、ロボットを使ってどのような自動化ができるのかを知らない人も多い」と神谷孝二FA・ロボット事業部長は説明する。
前回展では、持ち運びができる小型の協働ロボット「COBOTTA(コボッタ)」を複数台並べて、皮であんを包む餃子作りを披露し、多くの人が興味を示した。他にもベルトコンベヤーで運ばれるハンバーグを、水平多関節ロボット(スカラロボット)で搬送、整列させた。
今回で3回目の出展となるデンソーウェーブは、これまでの出展で得た市場のニーズや課題の解決に向けた製品、システムの開発に力を入れてきた。
今回展では、来場者の抱える問題を解消するヒントになるよう、より具体的なソリューションを用意する。
ロボットにもジャケットを
ロボットの導入で心配されるのが衛生面だ。「食品を含めた医療や化粧品の三品産業では、衛生環境に対する考え方は他の業界よりも厳しい」と神谷事業部長。
デンソーウェーブは無菌環境でも使用できる医薬・医療用ロボットもそろえるが、そこまでの機能を求めない作業現場も多い。また食品専用のロボットを開発するにはコストもかかる。
そこで標準仕様のロボットでも衛生条件を満たせるよう「食品用ロボットジャケット」を用意する。「人が白衣を着て作業するように、ロボットにも服を着せた。食品製造工程の自動化を手軽に、そして低コストで実現する」と神谷事業部長は強調する。
使い方は簡単。ロボットに被せ、ひもで縛って着用させるだけ。簡単に着脱できるため、毎回取り外してジャケットのみを洗うことができる。食品工場で使われるアルコールなどの化学品にも耐性を持つ。
また、ジャケットを着せたロボットには、食品用のハンドを付けて展示。食品は形がバラバラで、つぶれやすく、柔らかい物が多いため、優しく包み込むように持てるロボットハンドを用意する。つかみ方だけでなく、食品衛生規定に適した素材を使ったり、簡単に取り外して洗える特徴もある。